アイの歌声を聴かせて 感想

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【総評】

面白かったです。見てない人は急いで見にいく価値はあると思います。

 

以下ネタバレあり

 

 

 

 

 

 

 

 

【感想】

 

逐一語りたい気持ちもあるのですが、見た人しか読んでないと思うので雑感と本当に喋りたいことだけ書きます。

 

雑感

良かったです。共感性羞恥を誘う描写が多かったのは好き嫌いが別れるかもしれないですが、僕はゾクゾクして本当に楽しかったです。あとミュージカル調のアニメが好き(例外としてシンフォギアが歌うのはそんなに好きじゃないです)なので増えて欲しいです。

 

あと全部80点男、こいつ本当に最近いろんな話によく登場しますよね。良い奴率脅威の100%。

かなり好きなんですけど出てくるとまたかって気分にもなるので進化を遂げて欲しいなって気分にもなったりします。

 

本当に喋りたいこと

 

ちょっと捻くれた話になります。

友達の幸せを想うこと、それが自分の幸せになること、でも幸せにしようと思っても傷つけてしまったり、その逆もあること、それが人間だけでなくAIにも共通すること。そんなテーマだった気がする今作ですが、ひとつの二項対立として子供VS大人というのがありました。

もちろん主人公の好きなアニメ(セーラームーンに似ている)は子供らしさの象徴ですし、それを擦り続けたAIも子供側についていると考えていいかと思います。

その間に居るのがキーパーソンとしていて描かれていたお母さんで、「男社会で出世してきた」という点からも社会に反抗的な態度を取っており、話の中で子供の要素を持つ大人である描写がされていたと思います。

子供は友達の幸せを願うAIと人間は変わらないんだよという主張をして、最終的に完全に子供サイドに行ったお母さんも「世界中のAIがシオンのようになったら楽しい」と言っていました。

 

本当にそうでしょうか?

 

ここで考えたいのは、そのような世界が実現したら大変だと僕が考えているということではなく、話を考えた人がどう伝えたかったかということです。

まず目を引くのは、シオン(や他AI)のオーバースペックぶりです。自分の意思で消去を免れる、学校の防犯システムを全て乗っとる、学校の放送システムを完全に操ってミュージカルを展開する、腕相撲や柔道が強いことも力の象徴として描写されていると思います。

ここまでなら別になんの疑問も持たなかったのですが、本社ビルのAIを全て味方につけ、人工衛星を乗っ取りそこから衛生写真を撮ったり電話をかけたりとなってくると話は変わってきます。

強すぎますよね。本社を脱出するだけなら発電所のAIを味方につけてアニメワールドを展開する必要は全くありませんし、再会させたいなら人工衛星などという大層なものではなく手元のたまごっちに戻ってくればよかったと思います。

しかし本編では発電所を支配して人工衛星に乗り移りました。これは意図的にオーバースペックな面を強調していると解釈するのが妥当だと思いませんか?実際に流石に怖いな、と思った人もいたと思います。

AIと人間がお互いの幸せを想い合うハッピーエンドとして終わりを迎えた今作ですが、その裏には「強いAI」に警鐘を鳴らす「大人側」の視点もあったのではないかという話でした。

 

もうちょっとAIの強さを控えめにして素直に喜べる作りにしても良かったかな、とは思うのですがこのような複雑な感覚が残るような作り方をしたということは何かの意図があっての事だと思うので、そういう意味でも含みを持たせた映画なのかなと思いました。

 

見ずにここまで読んだ人は今日は床に正座で寝てください。